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色中心 / いろちゅうしん
カラーセンター / color center

光がなければそこは闇。色が見えるのは光あればこそ。では光とは何?
 
光の定義は人によって多少異なるけれど、ここでは目に見える波長の電磁波を光と呼ぶことにする。380〜780nmの波長である。これは水晶体がその前後の電磁波を吸収するため。
 
通常の光に色はない。これを白色光と呼ぶ。白色光は、紫、青、緑、黄、橙、赤などの色光が合わさったもの。色光がバランス良く混ざり合っていれば無色、つまり白色光であるけれど、物質にぶつかり、色光がアンバランスに吸収されれば色づいて見える。
 
例えばダイアモンド。 窒素不純物により紫〜青の光が吸収されれば、その補色である黄色味を帯びてくる。
 
光をアンバランスに吸収するもの、それが色因だ。
 
色中心とは、結晶構造上の欠陥の事。結晶とは原子が規則的に配列した様を云うけれど、有るべき位置に然るべきものがない場合、つまり欠陥がある場合、その欠陥自体がある種の色光を吸収する原因と成り得る。
先に述べたように、不均一な色光の吸収が生じた場合、色、または色の変化が生じる。 例えば、スモーキー クオーツ、マシシベリル(濃いブルーのベリル)が当てはまる。
 
色中心は、人工的に作り出すこともできる。粒子(電子や中性子など)を結晶にぶつけたり、あるいは強力な電磁波(ガンマ線のような)を宝石に照射することで、その衝撃によって結晶格子に欠陥、つまり色中心を作りだし、色に変化を生じせしめる処理がそれである。
結晶構造上の欠陥である色中心は、人の身体に例えて云うなら、外れた関節の様な物。外れた関節は、骨接ぎ院に行くと、引っ張って直す事があるそうだけれど、光や熱がこの「引っ張り」に相当するといっても、まあ許されるだろう。
 
「欠陥が直る」→「色因が無くなり退色する」となりやすい。
 
つまり、色中心が色因の宝石の場合、その色は安定性を欠く場合も多い。照射によるクンツァイトやオレンジ、及びイエローサファイアはその典型だろう。
 
その他、安定性は前述の3石より格段に優れるが、照射による処理宝石としては、ブルートパーズ、処理ブルーダイアモンド、処理ピンクダイアモンドなどがある。多くの場合熱処理も合わせて行う。
 
→照射処理


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