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琥珀イミテーション


プラスチック中の昆虫の拡大写真。足が不自然に曲がり、羽の広がり方も自然ではない。またゾルである殺虫剤が用いられたらしく、全体に立体感が乏しい(殺虫剤を吹き付けた蚊を想像して欲しい)。


ドミニカ共和国産琥珀から観察された昆虫の顕微鏡写真(直行ポーラー)。羽が伸びやかに広がり、今にも飛び出しそうな保存状態を有している。

プラスチック製琥珀イミテーション
(plastic made amber simulant)

琥珀とは太古の樹脂の化石だ。時折、昆虫や植物が閉じ込められた状態で発見されるが、琥珀中のそれらは保存状態が極めて良く、当時の植生等を知る貴重な手がかりとなっている。
プラスチック製琥珀イミテーションと琥珀の簡単な見分け方のひとつは、飽和食塩水を用いる方法。裸石にしか使用できないが、家庭で手軽に行うことが出来る。方法は、飽和食塩水に沈めるだけ。簡単なのが嬉しい。琥珀は浮き、プラスチックの琥珀イミテーションは沈む。
これは比重の違いを利用している。比重とは、有る物質の重量と、それと同体積の水との重量の比。例えば比重が2の物質は、同体積の水の2倍の重量がある。厳密に言えば、温度による物質の体積変化の影響を考
慮にいれる必要があるけれど、宝石鑑別において、そのような微妙な差異を考える必要はない。
飽和食塩水の比重は1.13。琥珀は1.08程度。従って浮く。プラスチックの比重は、例外的に非常に低い物もあるけれど、 通常1.20-1.30の間であり、沈む。
 
→アンバー(琥珀)


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