目から鱗の...

♪ 音楽理論のツボ ♪

〜 ドレミファソラシドの作り方 〜

このページでは、文字通りツボを刺激するように、音の根本原理をつついて、 音楽理論の背景的知識を中心に説明していきます。 これを読めば、難しいと思っていた音楽理論も簡単に思えてきます。

音楽の「音」は、「波」の一種としてとらえることができます。 周期性を持った「波」が2つあり、それらの周波数の比率が小さい整数同士(2倍・3倍・5倍)に なっていると、それらは「近いもの」「同期したもの」として認識されやすいという性質があります。 これは音だけでなく、模様、リズム、電波(波が乱れると整数倍の周波数に混信しやすい) などでも当てはまります。

人間の耳は、長年の経験からこの性質を直感的にとらえる能力を身につけているもので、 それが音楽の「美しさ」の感覚のもとになっています。 ここでは、このような「自然界の根本原則」に基づいた和音や音階の作り方について説明します。

▼動画版できました
五度圏時計

▲これはFlaCloの素材(flaclo_033)を元に背景と針の画像をカスタマイズして作ったものです。

●[五度圏の文字盤 300x300] この文字盤は筆者が独自にデザインしたものです。ご自由にダウンロードしてお使いください。

▼自分の手で、実際に作ってみた!
(ニコニコ技術部「作ってみた祭」テーマ「時計」)

目次


2倍で区切ってオクターブ

周波数に音楽的な目盛りをつける第一段階として、最も小さい整数比 1 : 2 を利用して 下の図のように目盛りづけをしていきます。周波数を2倍にすると、1オクターブ上がったように聞こえます。

ここで、周波数倍率の増え方は 0, 1, 2, 3, 4, ... ではなく 0.5, 1, 2, 4, 8, ... のように倍々で増えることに注意してください。 掛け算割り算の世界が、足し算引き算の世界に変換されていますが、これは対数目盛であることを示しています。 これは計算尺の目盛の振り方や、対数目盛の方眼紙と全く同じです。

つまり、オクターブは周波数倍率の(2を底とした)対数である、ともいえるわけです。これを数式にすると

オクターブ = log2(周波数倍率)

周波数倍率 = 2オクターブ

となります。


3倍・5倍で主要3和音を作る

2倍の次は、3倍・5倍で区切って、3つの構成音からなる和音(コード - chord)を作ってみます。
  1. 基準音(根音、ルート音)
  2. 5倍音
  3. 3倍音
単純に3倍・5倍しただけでは差が開きすぎてしまうので、2を掛けたり割ったり (=1オクターブ上げ下げ)して差を小さくします。すると、周波数倍率が

1 : 5/(2*2) : 3/2 = 1 : 1.25 : 1.5

のような「きりのいい」比率になります。こうして作った和音を下の図のように、 端をつなぐように配置していきます。



和音の構成音同士の「差」だけを見ると 1.25 - 1 = 1.5 - 1.25 = 0.25 で一定になります。 しかし、これを対数目盛にマッピングすると、数が大きいほど目盛りの間隔が狭くなるため、 1.0 〜 1.25 の間よりも 1.25 〜 1.5 の間のほうが距離が短くなります。

通常よく使われる和音はこの3つ(主要3和音、いわゆるスリーコード)で、 それぞれ次のように呼ばれます。
この主要3和音があれば、とりあえず曲を美しくするような伴奏が作れます。 多くの場合主和音から始まり、最後はたいてい属和音主和音のように戻って終わります。 主和音はいわば「自宅」のようなもので、隣近所を行ったり来たりしながら、 最後は主和音へ「帰ってくる」というイメージでとらえることができます。

耳で感じる音は、映像と同じような「残像効果」があるため、 和音の構成音を同時ではなく時間をずらして弾く「アルペジオ」(分散和音)でも 全く同じような雰囲気に聞こえます。この延長で、和音からメロディや音階を作ることができます。 ギターで作曲できるのも、これと全く同じ原理です。


主要3和音から純正律音階を作る

主要3和音の構成音を取り出して単音に分解し、音階(スケール)を作ってみましょう。 倍率が1〜2の範囲に収まっていない構成音は、2を掛けたり割ったりして調整(転回 - Inversion)します。

そうすると、ピアノの鍵盤のような間隔で構成音が並んでくるので、これに低いほうからドレミファソラシ(CDEFGAB/ハニホヘトイロ)と名前をつければ、音階のできあがりです。

周波数倍率からピアノ鍵盤模様を作り出す Java アプリ

作ってみました。

実行結果画面
ところどころにわずかなズレがありますが、これはピタゴラスコンマシントニックコンマと呼ばれる誤差があるためです。 全体的には目で見てはっきりわかるくらい、きれいに12等分されることがわかります。

ぜひ、以下のプログラムを実行し、出てきた画面を横にリサイズしてみてください。 誤差がどのくらいあるかを視覚的に感じ取ることができます。

実際に計算してみた

本当に「ピアノの鍵盤のような間隔」になるかどうか、実際に分数を使った計算で確かめてみましょう。 隣り合う2つの周波数倍率について、それらの比をさらに計算することで音程差を求めます。

音名 CDE FGAB C
周波数倍率小数 1.000 1.125 1.250 1.333 1.500 1.667 1.875 2.000
分数 1/1 = 1 (3*3)
/(2*2*2)
= 9/8
5/(2*2)
= 5/4
(2*2)/3
= 4/3
3/2 5/3 (3*5)
/(2*2*2)
= 15/8
2/1 = 2
隣接する
倍率の比
分数- (3*3)
/(2*2*2)
= 9/8
(2*5)
/(3*3)
= 10/9
(2*2*2*2)
/(3*5)

= 16/15
(3*3)
/(2*2*2)
= 9/8
(2*5)
/(3*3)
= 10/9
(3*3)
/(2*2*2)
= 9/8
(2*2*2*2)
/(3*5)

= 16/15
-
小数- 1.1251.111 1.067 1.1251.1111.125 1.067 -
音程差- 全音(長)全音(短) 半音 全音(長)全音(短)全音(長) 半音 -

隣接する倍率の比をよく見てください。ピアノで黒鍵のない場所が半音、黒鍵のある場所が全音(2種類ある)になっています。

このように、2、3、5の3つの素数の掛け算・割り算だけで周波数倍率を決めて調律した音階は「純正律」(Just intonation)と呼ばれます。 全音の値は半音の2乗(約 1.136)に近いので「半音×半音=全音」の関係が 成り立ちそうですが、正確に一致するわけではないため、移調すると誤差が出てしまうという問題があります。 その誤差を解消すべく、昔は色々な音律が考え出されました(詳細はここでは割愛します)が、 現在では12平均律で調律するのが事実上の標準になっています。


12平均律

12平均律音階(Twelve-tone equal temperament)は、半音を 1/12 オクターブとして、 半音単位で隣同士の周波数比が常に一定になるように決めた音階です。


この音律であれば、どの音階から始めても「半音×半音=全音」の関係が成り立ち、 1オクターブ=12半音として均等に分割されることになります。 半音上がるたびに、周波数は2の(1/12)乗倍 = 約1.059倍ずつ高くなります。 周波数倍率を見ると、純正律の場合に完全に一致していなくても、極めて近い値になっています。 誤差の分はうなりとなって現れますが、移調しても誤差が出ることがないため利便性が格段に向上します。

実際の周波数はA(ラ)の音=440Hz が 事実上の標準です。ただし、楽器によってはさまざまな理由(張りが緩むことを見込む、 など?他にもあるかも知れない)で1〜2Hz 高めに調律する場合もあります。 なお、440Hz で検索してみると、この音を実際に聞けるページが 数多く存在することがわかります(例えばこことか)。

計算式は MIDI Tuning Standard が参考になります。 この式に基づいて周波数を計算できる JavaScript を用意してあるのでお試しください。

和音の連鎖で調号が誕生

今度は、和音を3個つなげたときの延長で、以下のように 周波数倍率 1 : 1.25 : 1.5 の和音を外側へどんどん配置して連鎖を作ってみます。

すると、右側のクリーム色のところに#(半音上がった音)が、 左側の灰色のところに♭(半音下がった音)が出てきます。 これは、次のことを意味しています。 この#や♭のつく音階がどこになるかを示したものが、五線の先頭についている「調号」(key signature)です。

全体の周波数が 1.5 倍になるということは、主要3和音のグループが和音連鎖の上で 右へシフトすることを意味します。調号の#が増えれば、#の数だけ右へシフトしていきます。 ♭が増える場合は逆に、♭の数だけ左へシフトしていきます。#や♭の数が近い2つの調は 主要3和音の一部を共有しているので、響きも似たような感じになるわけです。 こうなると、脳の中で音楽を「空間認識」できるようになり、 調やコードが「近い、遠い」という概念が生まれます。


和音をまたがる和音でマイナーコード誕生

次に、和音の中央の音から始まる3音を拾った、もう一つの和音を作ってみます。

この場合も、両端の音程差は 1.5 倍ですが、中央が半音低くなった新しい和音ができあがります。 左端から中央までが短3度(半音3個分)であることから、短和音(マイナーコード)と呼ばれます。 一方、中央が半音低くなっていない和音は、左端から中央までが長3度(半音4個分)であることから、 長和音(メジャーコード)と呼ばれます。

メジャーがマイナーになると、3度の音が「5倍」の成分ではなく「1/5 倍」になり、 「やや不安定な構成音」として聞こえるため寂しい響きを生み出します。 ちなみに、5度の音(3倍の成分)も半音下げて「減5度」にすると、さらに不安定な響きになるため 寂しいを通り越して恐怖感のある不協和音になってきます。 曲が醸し出す雰囲気は、このように「どのくらい安定しているか」(協和しているか)ということによって 左右されるといってもよいでしょう。

これらのコードは C とか Am などの「コードネーム」と呼ばれる記号で表されます。 また、3つのコードのうち中央にあるコードは、キー(調)表す記号としても使われます。 コードネームの詳細についてはこちらを参照してください。

上の図で、3つのメジャーコード F C G と、3つのマイナーコード Dm Am Em の 位置を比べてみてください。左右にずれていても、♭や#のついた音にぶつからない範囲に うまく収まっていることがわかるでしょう。 これは、キー C と Am は調号の♭や#がつかないもの同士であることを示しています。ではここで、和音の連鎖の位置をメジャーとマイナーで 同時にシフトしてみた場合はどうでしょう?

上の方で述べたとおり、どちらへシフトした場合でも調号の♭や#の数は1個ずつ増減するので、 調号の♭や#の数ごとにメジャーキー・マイナーキーのペアが存在することがわかります。 このような調のペアは 「平行調relative key)」と呼ばれます。平行調同士のメジャー・マイナーの両方の 3和音を合わせた6種類のコードは、その調で最も頻繁に使われる「ダイアトニックコード」 でもあるわけです。このようにして、横方向に和音の連鎖をどんどん拡張し、縦方向に平行調ペアを並べると、 以下のような図ができます。


ピンクの部分が、先ほど説明したダイアトニックコードです。また、このピンクの範囲には、 その調で対応するスケール(相対音階のドレミファ)の構成音が必ず集まります (余った「シ」はオレンジ色のエリアにはみ出します)。

ここで注目すべきは、オレンジ左の D と、ピンク左の Dm との位置関係です。D のところは、 初めて#の音階が出てきた部分ですが、よく見ると、和音の中央の音が半音違うだけになっています。 では、もしこの D と Dm がキーだったらどうでしょう? あるいは、C と Cm がキーだったらどうでしょう? C のダイアトニックコードはピンク、Cm のダイアトニックコードは水色、のように住み分けができる ことがわかります。このようにルート音が同じ調のペアは「同主調」parallel key)と呼ばれます。 同主調の特徴は、調号の#や♭の数が3つ違いになることです。 上の図でいえば、どんな場合でも必ず3マス離れたところに同主調が現れることになります。
よく使われるテクニックとして、同主調転調によって雰囲気をがらっと変えるという曲づくりの方法があります。 ルート音が同じでメジャーとマイナーだけが変わると、メジャーのいい感じとマイナーの寂しい感じが ストレートに...もっと言えば露骨に雰囲気が変化するのです。ここが平行調との大きな違いです。 上の図で背景色が同じコードを移動している限りは雰囲気はそれほど変わりませんが、 違う背景色に出ると鳥肌が立つくらい雰囲気が変わります。

さらに注目すべきは、緑色の部分の6コードが左右に離れた2箇所に現れ、両者の同じ位置にあるコードは 表記が違うだけで同じ音になっていることです。 これは異名同音enharmonic)と呼ばれ、 誤差の蓄積しない12平均律だからこそ成り立つものです。 この異名同音のところを「のりづけ」して円形にしたのが、よく知られている「五度圏」という図です。

ちなみに、純正律として作った音階では誤差が蓄積されるため「同音」ではなくなって、裏でうまくつながりません。


五度圏

以下の図は「五度圏」(Circle of Fifths)と呼ばれる図です。 「五度環」「五度円」「Cycle of Fifths」などと呼ばれることもあります。 「五度」とは、和音の左端の音から右端まで白鍵だけを数えると5つ(完全5度)に なることに由来します。12音あるので、ちょうど時計の文字盤と同じように 「何時の位置」という言い方で表すことができます。

キーとして五度圏の図を見ると、楽譜の先頭につく調号の#や♭の数の順序で並んでいて、 平行調は必ず同じ時刻の上に並ぶので、調の早見表としても便利です。 例えば#が3個なら、3時の位置を見ればよいので、キーは A または F#m だとわかります。 ♭が2個なら、12−2=10時の位置を見ることでキーは B♭ または Gm だとわかります。

コードとして見た場合も、ダイアトニックコードがすぐにわかります。 キーと同じ名前のコードが主和音(トニック)、左隣(1時間前)に下属和音(サブドミナント)、 右隣(1時間後)に属和音(ドミナント)が自動的に配置されます。

このように、五度圏はとても便利なので覚えておくと便利です。五度圏をかたどった時計もあるほどです。 五度圏について説明されたページは他にもありますが、私が見つけた中で一番わかりやすいと思ったのは耳コピー入門−五度圏、DC−ギターふりかけ)です。

五度圏と同じ配列にして演奏しやすくした楽器として、アコーディオンのコードボタンや、筆者が作ったMIDI Chord Helper などがあります。この2つはメジャーコードとマイナーコードが3つずれている点が大きく異なります。
アコーディオンのコードボタン配列表は、以下のページで見ることができます。

#と♭の使い分け - キーワードは FCGDAEB

#(シャープ)、♭(フラット)といえば、黒鍵を指すときには欠かせない記号であることは、 誰でも簡単に想像がつくと思いますが、実はこれ、黒鍵を表すためだけに使う記号ではありません。 白鍵であっても#や♭を使って表記すべきケースがあるのです。

まず、先ほど出てきた五度圏の並びをよーく見てください...。

F C G D A E B

という順序が浮かび上がってきませんか? 実はこれ、以下の図のように 黒鍵と白鍵を入れ替えたときの並びと同じなのです。

こうすると、交互に並んでいた黒鍵と白鍵がきれいに分離されます。 入れ替えられる音階同士は半音6個分間隔(3全音=トライトーン)の関係にあるため、 半音+3全音=7半音、すなわち完全5度の間隔で音階が並びます。

一方、一番下は FCGDAEB の繰り返しだけで作られています。 B より右へはみ出すと次の F からは#が、F より左へはみ出すと次の B からは♭がつきます。 よく見ると、#や♭がつくのに白鍵で弾く音階や、#や♭が二重についた音階まであります。これはなぜでしょう?

その最大の理由は、度数(xx何度、などの数)がズレるのを防ぐためです。 上の図にある FCGDAEB の繰り返しで連続した7音を選べば、度数が狂うことはありません。 しかも、FCGDAEB のどこから右に#が、どこから左に♭がつくか...を見ることで、 調号の#や♭のつく順序および数が一目でわかります。

どんな調であっても、7音の音階(スケール)には A〜G の文字が必ず1度ずつ出て来るようにしなければなりません。 (このことはChord Wizard - How Music Works (2.9) Major Scale Note Namesにもはっきりと書かれています)
そうしないと、度数が狂うばかりでなく、スケールを外れていない音階の五線譜での記入箇所が重複してしまいます。 例えば、調号の#が6個あるときを考えてみましょう。このときスケールの7音は F# G# A# B C# D# E# になります。 ここで、E# は F と同じ鍵盤を使いますが、この音階を F という文字で表すのは正しくありません。 なぜなら、すでに F# という音階で使われているため、もし使ってしまうと、 F# を F にするためにわざわざナチュラルをつけて打ち消す必要が生じてしまうからです。 こうなると「スケールに乗っている音に臨時記号をつけなくてもよいようにする」という、 調号の重要な役割を果たせなくなってしまいます。

調号の#や♭の数が多くなったときに、臨時記号としてさらに#や♭がつくような場合、ダブルフラット(重変)やダブルシャープ(重嬰)を使います。

調号の#や♭の数は、最大7個までです。 7個というのはスケールの7音全部に#や♭がついた状態を指します。 もしこれ以上#や♭をつけようとすると、 調号そのものにダブルシャープやダブルフラットが出てくることになってしまいます。 そうなってしまうと今度は「トリプルシャープ」とか「トリプルフラット」なんていう記号を 作らなくてはいけなくなってしまいます。 さらにこの「トリプルシャープ」や「トリプルフラット」を調号として使ってしまうと、 「ダブルダブルシャープ」とか「ダブルダブルフラット」なんていう記号を 作らなくてはいけなくなってしまいます。
....こんなことをいつまでも繰り返すわけにはいきませんよね!
調号の#や♭の最大を7個にしておけば、これに歯止めがかかります。


コードネームとそのバリエーション

楽譜の上側についているコードの例 ← 楽譜の上側に、このように C とか Am などの記号が書かれているのを見たことありませんか?

これはコードネームWikipedia 参照:英語では Chord Symbol)と 呼ばれるもので、和音(コード)を表す記号です。

コードネームは20世紀始め頃に考案されたもので、クラシック音楽に比べて歴史が浅いです。 そのためか、筆者も学校の音楽の時間に教わった覚えはなく、 せいぜい、I度、IV度、V度の和音があることを教わった程度です。 しかも、英語の表記 Chord Symbol とは異なる「コードネーム」という名前で呼ばれているため、 ソフトウェア開発プロジェクトなどのコードネーム(code name)に似た 「暗号めいた記号」とか、楽譜の上に書かれている「目立たない存在」というイメージで捉えられがちです。

しかしながら、chord symbol のほうのコードネームは曲から感じ取れる「雰囲気」をはっきりと見える形で表すにはとても有効な手段です。 ギターやウクレレなどを弾くときなどは必ず出てくるので自然に覚えると思いますが、 音楽全般の知識を深めるのに非常に有効ですから、覚えておいて損はありません。

コードネームは根音(ルート音)と呼ばれる左端の(一番低い)音階を基準にして表されます。 メジャーコードの場合は、C とか F などのようにルート音の音名と同じ表記です。 マイナーコードの場合はこれに m をつけて Am とか Dm のように表記します。 メジャーコードとマイナーコードの詳細についてはこちらを参照してください。

この表記はコードだけでなくキー(調)でも使われます。 例えばキーがハ長調だったら C、イ短調だったら Am のように表されます。 こちらに出てくる図でいう、主要3和音の中央に位置する和音=主和音の表記がそのまま調の表記として使われます。

キーの場合はメジャーとマイナーしかありませんが、コードの場合は もっと色々なバリエーションがあります。このバリエーションの作り方は大きく分けて下記の3種類があります。


なお、上記の3種類の作り方は単独で使われるとは限りません。 Bm7♭5 や C7sus4 のように組み合わせて使われることもあります。

特別な例として dim7 があります。
一見 m7♭5 と同じコードに見えますが実は違います。dim の場合の 7 は「減7度」といい、 通常の 7th よりもさらに短い半音9個分になります。maj7 の 7 と比べると、 理論上、7度の音に♭が2個つくことになりますが、物理的には 6th と同じという ことになり m6♭5 で表したコードと同じ音になります。 こうなると、すべての構成音が半音3個分間隔に揃ってしまうという、まさに 「究極のdiminished」コードになるわけです。 このことから dim7 は Fully diminished と呼ばれることがあるようです。 また、m7♭5 は Half diminished とも呼ばれます。

実際に演奏するときは、構成音の順番を変える(転回する)ことも多いです。 高すぎたり低すぎたりする音だけを1オクターブ上下します。 (カラオケで音が高すぎて声が出ないときに1オクターブ下げて歌うのと同じことです)
また、ときどき C/E のように / のつくコードがみられますが、 これは「オンコード」あるいは「分数コード」と呼ばれるものです。
分母のアルファベットはコードではなく、ベースが弾く単音を表します。 通常、ベースはコードのルート音を弾きますが、ルート音ではない音を弾くことを 明示的に指定したい場合、この / を使って分母にベース音を書きます。
分母には通常、コードの構成音のどれかが使われることが多いですが、 そうでない場合もあります(例:Dm7/G など)。

楽器によってはコード構成音が全部同時に出せない場合があります。 例えばウクレレの場合、4弦しかないので5重和音として 9th を出すことはできません。 このような場合は、根音または属音を省略します。特に属音は根音から自然に発生する 可能性が高い3倍波なので省略しても影響が少なく、省略の第1候補として扱われます。

これらのコードネームを、前に説明した節の下の方にある2音共有連鎖にマッピングしてみると、以下のような図ができます。 これを見れば、3重和音(トライアド)を4重和音(テトラッド)にするときに 7、M7、6、♭5 がどのように使われるかがイメージできると思います。




参考になりそうなページ