始めに、巨大な災禍にみまわれた記憶があった 戦争でもなく 疫病でも天変地異でもないが 確実に世界を終わらせるもの そのことを人々は後に知ることとなるのだが それは あらゆる窓から一斉に鳥が放たれる光景であり すがるようにそれを追うものの小さな顔であり その唇からほとばしる言葉だった 世界はそのとき確実に終わりを告げていたのだが 誰ひとりそのことに気づかなかった