■WWFNo.6 扉のことば






 或る母親が、その子供たちに『イソップ物語』を与えて、彼らの教養を高め、その行状を改善するようにと読ませた。ところが、さっそく、彼らはこの本を母親に返しにきて、その際、こましゃくれた一番上の男の子が、そこで意見を述べた、「これはぼくたちに向く本じゃありませんよ! あんまり子供っぽくて、ばかげています! 狐や、狼や、鳥などが話をすることができるなんて、そんなことで、ぼくたち、もうだまされませんよ。こんな戯談なら、ぼくたちは、とうの昔に卒業しましたもん!」と。──この前途多望な子供たちのうちに、未来の開けた合理主義者を認めない人があろうか!


アルトゥール・ショーペンハウエル
『バレルガ・ウント・パラリポメナ』第二巻より




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