【「処士横議」バックナンバー】
『プリンセスメーカー ゆめみる妖精』
―1997年2月2日―
秋葉原に行って『プリンセスメーカー ゆめみる妖精』を買ってきた。かねてから待望されていた――というか私が待望していた作品である。ちなみに、当然予想されたことではあったが、『ファイナルファンタジー7』は少なくとも大手のゲーム店では完売していた。
あるいは先刻ご承知ことと思うが、この『プリンセスメーカー』のシリーズはこれで三作めになる。どこかから娘を預かったり養女にしたりして、その娘を10歳から18歳まで育てるという部分だけ共通していて、そのほかの設定はそれぞれちがっている。一作めは戦災孤児、二作めは天界の娘、こんどの三作め(「ゆめみる妖精」)は妖精の娘で、ちなみに父親が娘が養女であることを知らないという設定はこの三作めがはじめてのようだ。
なお、私の知っている範囲では、『プリンセスメーカー2』DOS版のほかにTOWNS版があり、ここではじめて娘の声が聞ける設定になった(声は笠原弘子)。Windows 3.1版はこのTOWNS版の移植だった。Windows 3.1版では、いちいち設定を256色モードにして再立ち上げしないと使えないなどいろいろ不便な点があったが、Windows95版では改善されているそうだ。セガサターン版は、攻略本をみるかぎりではやはり『2』のTOWNS版と大差ないように思われ、ソニックがらみのイベントが追加されていたり、「恩賜の剣」売却の制裁が異なっていたりする程度のようである(だってサターン持ってないんだもん)。スーパーファミコン版というのもあるようだが私はよく知らない。
いちおうその世界での「プリンセス」をめざすのが目標として定められているが、プリンセス以外の「職業」に育ててもいっこうにかまわない。「2」の場合などは、プリンセスにするのはあるイベントさえ把握すればかなり楽で、大道芸人とかに育てるのがかえって大変なようだ。
私は『プリンセスメーカー2』のDOS版からやっている。このDOS版では何十人かの「娘」を育てた。女王・宰相・王宮魔法師・将軍などのたいていの「顕職」には就かせてやったし、悪のほうの「顕職」に就かせてやったこともある。一発撃ち込まれたら即ダウンするほど体力がないのに、回避の巧妙さと魔法の腕で武闘大会を勝ち上がり、戦士としての評価がけっこう高いところまでいった娘というのもいるし、知能がゼロで知力の要求される王宮魔法師に就職して、あっさりクビになった娘もいた。だったら最初から適性のないやつを王宮で登用するな、っての、どうでもいいけど。「月に一度は武者修行」とか言って10歳の最初の月から武者修行にほうり出されてそのたびに負けてかえってきたのもいた――けっきょく因業のおかげで悪の第一人者になってくれたけど。
で、「顕職」への就職はいろいろ経験してもらったし、能力的に偏った娘というのもいろいろ育てたのだが、かえって「平凡な主婦」以外の「平凡な」職に就いた娘がいない。なぜかというと、最初にプレイしたのが、先にこのゲームにはまっていた某友人のところでだったので、いろいろ教えてもらいながらやったものだから、すぐに出世に必要ないろんなイベントを覚えてしまったのだ。
もちろん、わざとイベントに遭遇しないように回避することはできるし、そうすれば娘のパラメータは上昇せず、その結果としてさまざまな「平凡な」就職をしてくれるはずである(一般にパラメータの値が高いと王宮入りし、低いと平凡な職に就く。ただし因業は高いと悪のほうに行ってしまう)。しかし、かりにも「娘」を育てているという設定上、「こうやれば娘の評価が上がる」とわかっているときにそれをやらせないという選択は「父」として辛い。けっきょくそのイベントを体験させてしまう。で、イベントで評価が上がるとこんどは評価を落とすことはさせたくない。辻試合とか挑まれて、逃げると評価が下がることはわかっていて、しかもその評価を下げたいと思っているときでも、「うちの娘はそんな卑怯者でわない!」とか言って勝負させてしまうもんだからかえって上げたくない評価が上がってしまったりする。
これが『プリンセスメーカー』の特性のひとつだと思う。RPGとかだと、「この魔法使いは依怙地なので魔法使いのくせに殴り攻撃しかしない」とかいう設定を勝手にでっち上げてプレイすることにもあまり抵抗を感じない。たとえば敵を一人で殴り&聖なる攻撃魔法で全滅させておいて「祈りましょう、平和のために」とか言ってる僧侶を育てることだってできるし、まぁそういうヘンなキャラを育てるのが好きだったりする。だが設定上であれ「娘」である以上は、娘のためにならないことをやったりやらせたり、娘にわざわざチャンスを素通りさせたり、娘をわざと非行化させたりということは心情的に抵抗がある。自分と娘の関係を上げるためのひとつの方法として娘をわざと病気にして献身的に看病してやるというのがあるらしいのだが、私はそれさえ不憫でできなかった。じゃあ因業のパラメータを振り切らせて魔王にして何がうれしい、と言われるかもしれないが、この作では「魔王」はたんなる「悪」ではなく天が人間界を管理するシステムの一翼をになっているだいじな存在ということになっているのでいいのではなかろうか……(汗)。
さて、『プリンセスメーカー3』(「ゆめみる妖精」)であるが、こんどは父親の職業というのが導入されている。これまであったように、「魔王との戦いの勇者」という設定ではなく、そもそも魔王との戦いが前提になっているわけでもなさそうだ。で、父親の職業で娘の性格も決まるという仕組みになっているらしい。そこで「没落貴族」というのを選んだら、なんか娘が「なまいき」で取り澄ましてそっくりかえってやんの。なんかアスカ(『エヴァンゲリオン』の)みたいで、しゃべり方もな〜んかアスカみたい。そういえば、声の野上ゆかなさんは、みやむーといっしょに『ウェディングピーチ』で(テレビ東京では)『エヴァ』の直前の枠で戦っていたりしたんだっけ。カネをばかばか使い込んで食ったり買い物したりするし――うーむ。はっきり言って、「没落貴族」は上級者向けじゃないんかな。
声は娘が野上ゆかな、妖精の女王が川村万梨阿――むかし『あ〜る』で西園寺まりい役で出たときは「清純な役」が回ってこなくなったと怒っていらしたが、どうも最近は清純な役もやっておられるようで。『スレイヤーズ』のナーガとかもやってるみたいだけど。あと、『2』のキューブにあたる執事役がウズという妖精で、これは椎名へきるが演じている。天上院桂よりは獅堂光のほうに近い感じだろうか(娘がヘンな行動に走ると「だめよ!だめよ!だめよ!!」と叫んでくれる――わけではなさそうだ)。あと、いっしょにクエストもの(?)のドラマCDを出している吉田古奈美と荒木香恵が出ていたりするようだが、まだその登場場面までやっていない。
今回は、まえにあった「魔王との戦い」という設定が姿を消したことで(もしかするとあとで出てくるのかも知れないが)、クエストモードもなくなり(もしかすると以下同文)、世界観的なものがだいぶ変わったような気がする。逆に、『2』では「病気」・「非行化」しかなかった(あと「恋愛」などがあったか)娘の「状態」が、「貧乏性」・「なまいき」・「ぶりっこ」など細かく決められた。より「娘育てゲーム」として純化したような感じである。また、以前はひと月単位で「スケジュール→実行」の繰り返しだったが、今回はその制限がなくなり、ゲームの最後まで最初にスケジュールを立ててしまうことだってできるらしい。「2」では一旬(10日前後)が単位だったが、今回は半月が単位になっている。
あ、それから、こんどは「父」が娘を自分の娘と思いこんでいるという設定である。これまでは「×との結婚」というなかなか嬉しいエンディングがあったのだが、はてこんどはどうなっていることか……。あっさりなくなっているか、それとも最後の最後になって血縁関係はなかったとばれるということなのか――。
・「珊瑚舎の部屋」へ戻る
・「処士横議」のページへ戻る