プロローグ 「ウーマン・オブ・ザ・イヤー2002大賞」を受賞

第一章 台風娘と小布施町
春一番、町に台風娘(セーラ)がやってきた!
◆長野五輪で「何かしたい!」、でも待っていたのは挫折……
◆「ここなら私の居場所がある」
◆小布施堂の社長から言われたことは、「社員に英語を教えるな」
第二章 「第三回 国際北斎会議」
葛飾北斎を、町起こしのシンボルに
◆江戸時代も相当クレージー、オレたちも遊ぼうじゃないか
◆ただの物珍しい広告塔にだけはなりたくない!
◆海外で評価が高い北斎の価値に、当の小布施が気付いていない。なんてもったいない……
◆「国際北斎会議」を小布施に呼ぼう。妹の結婚式の直後に、ベニスに飛んだ
◆オリンピックイヤーに世界の学者や愛好家が小布施に結集した
◆ヨソ者は強い。だって何も失うものがないのだから
第三章 長野冬期オリンピック
蛇の目傘、そしてアン王女と英国選手団
◆五輪カラーの蛇の目傘を発案、三十軒に断られたが、ついに実現
◆アン王女主催の英国選手団激励会を小布施で開く
◆オリンピックの意味は一時の経済効果ではない。思い出を町の誇りにつなげたい
◆オリンピックの夢のあとには……
第四章 和食レストラン「蔵部」
ただ一人、社長に「ノー!」と言ってから
◆着工の五日前に前案を撤回、香港在住のジョン・モーフォードに設計を頼む
◆妥協しないセーラvs.「おめえに聞いてんじゃねえや」と工事責任者、現場は白熱
◆カウンターの上の不思議な木の「つづら」は、百年後に開ける「タイムカプセル」
第五章 新酒「スクウェア・ワン」
アメリカ娘に、日本酒の開発ができるのか!?
◆町で噂になった。「いったい枡一は何をしようとしているのか?」
◆欧米人で初めて「唎酒師」に認定される
◆ブームの大吟醸ではなく、オトーサンが喜ぶ酒を造りたい
第六章 枡一市村酒蔵場の大改造
台風娘、ハンマーを手に大暴れ!
◆「日本のことは日本人がやればいい!」とアメリカの婚約者は怒った
◆プラチナの婚約指輪の代わりに、プラチナ箔の看板が手に入った
第七章 社員そして取締役
ダメ社員? それともカルロス・ゴーン?
◆「みんなで片付けましょう!」という呼びかけには、カルロス・ゴーン的な経営の本質がある
◆新しいビジネスを立ち上げる時は金銭的には不遇だけど、いちばんワクワクする
第八章 素顔の台風娘
「吉本」好きのフロンティア精神(スピリット)
◆「天邪鬼」だからこそ「画期的」でいられる
◆人生に追い風が吹いている時は、本当はあぶない
◆吉本、大好き。大阪で突拍子のない素顔は磨かれた
◆人生に日が当たるのは一瞬。でもそれがあれば進んでいける
第九章 木桶仕込み保存会&小布施ッション
「古き良き日本」を、守りたい、残したい!
◆昭和三十年代に廃れた日本酒の「木桶仕込み」を復活させる
◆毎月ゾロ目の日に、知的で遊び心に満ちたイベント「小布施ッション

エピローグ 台風娘は、今日も行く!!


日本文化大好きのアメリカ娘、セーラ・マリ・カミングスが長野五輪の役に立ちたいと思って日本に来たが、思うような仕事をさせてもらえなかった所、ひょんなことから古い小さな町の小布施にある老舗の契約社員となり、恐るべき行動力で次々となにごとかをなしとげてゆく、ほとんど感動的といってよい記録だ。

著者の清野由美は「日経トレンディ」誌創刊に参加して、現在はフリーのジャーナリストらしいが、本書の筆致はとてもよい。

あとがきから引用しよう。

 セーラが言うように、日本の地方には地域に代々受け継がれてきた生活文化という、大きな潜在力がある。

 小布施には、果樹園が連なるのどかな土地柄に、江戸時代の面影を残す町並み、田舎ならではの澄んだ空気、・・・。そして、そこに生きる人たちの間には、他者をむやみに警戒しない、まともな人間性が息づいている。

 長い間そこに暮らしている人にとって、それらは「何をいまさら」の、当たり前な日常であろう。それをセーラは「素晴らしい財産」として発見し、さまざまな角度から新たな光をあて続けた。そのユニークな発想と取り組み、何があっても決してあきらめない彼女の力強さは、誰かがきちんと記録に残すべきであった。そしてその誰かとは、この自分をおいてほかにない、と私は勝手に考え、得心した。

 しかし偉いのはセーラだけではない。異分子であるアメリカ人のセーラを受け入れ、育てた小布施の人々があってこそ、今の時代にこの町は輝きを放つようになったのだ。

 ――セーラが日本を発見した、日本がセーラを発掘した――。

 この台風娘の大いなる才能を日本人が認めたという事実を、私たちはもっと誇っていい。自信を持っていい。本当に、日本は捨てたものじゃない。


(2003.5)